「おいおい、こんな暗いところ進むのか?」
「進まないとしょうがないじゃん。他の道は行き止まりだったんだし」
「そうですよバハムーンくん。集団行動に文句は言わないように。」
「はぁ…マジかよ」
バルタクス地下道を奥に進んでいく六人だったが
暗闇が続くエリアに到着し、めんどくさがりのバハムーン♂が足を止めていた。
クラッズ♂やヒューマン♂が腕を引っ張ろうとするが
パーティ一番の力持ちに勝てるはずがなくほとほと困っていたのだった。
「たりィ、お前らだけで行ってこいよ」
「もー、バハムーンってば…。セレスティアも何か言ってあげてよ」
「興味無いわ」
パーティの紅一点セレスティア♀は寡黙な性格で
読書は好きだが興味のないことには全くといっていいほど関わらないという
”ある意味”めんどくさがりな女性である。
「こんな女に何言ってもきかねェよ。グリーンピース残しやがって」
…大人の女性のような見た目とは対照的に子供らしい一面もあったり。
「…う、うるさいわね。さっさと連れて行きなさいエルフ」
「りょ、…了解」
エルフ♂が狩人特有の念力を使いバハムーンの自由を奪った。
こうなればいくら馬鹿力でも対処できない。
「うお!?ちょ、分かった!行きゃいいんだろォが!浮かすなぁあ!」
「やれやれ…」
一行はゆっくりと暗闇の世界へ足を運ぶのだった。
「うわ、暗い!何も見えないぞ」
「ねーねー、手繋いだ方がいいんじゃない?」
「そうですね。お互い手を繋いで進みましょう」
クラッズの意見で手を繋ぎ合って進むことにした。
「これじゃ誰と手繋いだのか分かんないな」
「さて、セレスティアは誰と手を繋いだんでしょうか♪」
「エ〜ル〜フ〜?」
「じょ、冗談ですよっ」
「(・・・?)」
バハムーンは繋いだ手が小刻みに震えているのを見て不審に思った。
このメンバーで怖がりな奴なんか絶対に居ないはず…
少し気になったがそのまま進むことにした。
「いったん休憩しようぜ」
少しして、やはり気になったのかパーティを引きとめようとしたバハムーン。
だが足を止めると他のメンバーの声はおろか、物音一つ聞こえなくなった。
しかし手を繋いでいるからには一人では無いはずとバハムーンはそのもう一人に声をかけた。
「おい、だれか居ねェのか。つーかお前大丈夫か?」
「…ぅ、るさいわね…っ」
「!! お前だったのか」
驚いた。震えていた主はあの気丈なセレスティアだったのだ。
「大丈夫か?震えてる上に冷たくなってんぞ、手。」
「触らないで!!」
「バカ、さっきまで繋いでただろが!しかも今手を放して俺らまではぐれてどうすんだよ」
セレスティアは振りほどこうとしたがバハムートの大きな手に腕をつかまれ遮られる。
「ちょっと落ち着けって。お前らしくねェ」
「私らしくない、って何よ。あなたは私の何を知ってるのよ」
「別に。ただいつもの調子とは違うから…」
「軽蔑した?」
「………は?」
いきなりな発言にさすがのバハムートも言葉を失う。
「私の性格っぽくなくて軽蔑したのかって聞いてるのよ!!」
「何で軽蔑するんだよ。別に悪いことしたわけじゃねェだろうが」
「う…、そうだけど…」
「むしろこっちとしては面白ェ。これで弱みを一つ握れたってもんだ♪」
珍しく上機嫌になったバハムーンの足をセレスティアは履いているヒールの底で思い切り踏みつけた。
「ぐお!!痛ェ!ちっとぁ加減しろ!!」
「黙りなさい、ほらさっさとみんなを探すわよ!」
「ちっ、だから女は嫌なんだ」
踏まれた足がジンジン痛むのを感じながらもバハムーンはセレスティアの意外な一面を見て少し可愛さを感じたのだった。
+あとがき+
はい、そんなわけで妄想でしたー。(ぁ パーティはホントにこの種族たちでやってます。
『ととモノ。』シリーズは毎回進化してますがキャラデザは初期が一番好きだなーと思ってます。
セレス様の天使加減やヒューマンの無個性さとか。(ぁ