「しりとりゲームしようヨ!」
「おっ、いいねぇマオ!」

ヒルダを仲間にした一行はバルカを目指していた。
目指している途中なのだが…

「ちょっと、今はバルカに向かってるんでしょう?そんなことしてる暇ないわ」
「そうだ。今は一刻も早くバルカに行ってクレアを…」
「あーのーなぁ!旅にゃふいんきってもんが必要だろ!」

×ふいんき ○ふんいき。

「…アンタみたいな馬鹿は埋まってたらいいわ」
「ヒルダさん!待って下さいっ!」

そういってヒルダは道を外れてしまった。それを見たアニーも慌ててヒルダを追う。

「ヒルダ、アニー!!」
「待てマオ。今の状況では追っても仕方ない。休憩にしよう」
「し、しかしクレアが…!」
「クレアさんも大事だが仲間を思うことも大事だ。焦るなヴェイグ。分かっている」
「…ああ、すまない…」

やっと息が合いかけていたパーティの空気が崩れそうになっていた。
パーティ崩壊を危惧した年長者ユージーンは一時休憩と指示した。

「あーあ、休憩っていってもすることないヨ」
「そだなぁ…よし、ヴェイグを入れておままごとだ!!」
昼ドラになるヨ?
「無難に寝とくか…」
「だネ…」
「…俺はいったい…」

悲しき主人公ヴェイグ・リュングベル。


「……はぁ」
「せっかく仲間と呼べる人たちに出会ったのに……こうなるのね」

『馴れ合いなんて私みたいなハーフに出来るわけない』
『どうせハーフなんて…』

ヒルダは木に寄りかかりタロットを一枚取り出し表を向けた。

「月のカード…いい意味にも悪い意味にも取れる。私は…」
「ヒルダさんっ!!」
「…アニー。」

月の模様が入ったカードをしまいそっぽを向くヒルダ。

「何でティトレイさんに強く当たるんですか?そりゃ確かに下品な部分もあるかもしれませんけど…」
「別に?あなたが知る必要はない」
「聞きたいんです」
「言いたくない」

頑固に黙秘を続けるヒルダをなんとかしようといろんな作戦に出るアニー。
だが戦闘はあっちが熟練しておりかなうはずもない…いったいどうすれば…

「…種族って…なんですか」
「………」
「種族の差は…どうして生まれるんでしょうか。生まれながらにして同じ命のはずなのに」
それが分かってたらこんな苦労しないわ!!!

『ああ、やってしまった。』
『何を言ってるの…私。罪のない子にまで…やつあたり…っ!』

「ごめんなさい…アンタもガジュマに家族を」
「い、いいんです…ユージーンが生きている限り私の復讐は終わりませんから。」
「強い子ね」
「いえ、弱いんです。人一人殺せない強さなんて無いのと同じです。」
「違うわよ」
「え?」

月が描かれたカードをアニーに渡し、ヒルダは座り込んだ。

「ヒルダさん、これ…」
「月よ。今の私やアンタにぴったりのカード」
「ぴったり?」
「そう。お守りで持っておくといいわ」

それを聞いたアニーは「ありがとうございます」と笑顔をヒルダに返した。
ヒルダはそれを見て少し笑う。

「可愛い顔してるじゃない」
「〜〜〜っ/// な、なんてこと言うんですか!」
「ふふっ。アンタみたいな子見てると悩んでるこっちが馬鹿らしく感じるわね」
「…ヒルダさんも、とっても綺麗ですよ。」
「ありがとう」
「やーっと笑ってくれましたねっ」
「そうね。久しぶりに笑った気がする…」

アニーのヒルダへの褒め言葉は紛れもなく本心からの言葉だというのをヒルダは感じた。
それを感じたからこそヒルダは自然な笑顔を作ることができた。

「さ、そろそろ行きましょう!皆さん心配してますし」

宿へ歩き出すヒルダとそれを追いかけるアニー。
その二人の姿はどこか姉妹に似たものがあったという…

「なるほど、アニーとヒルダは姉妹なんだネ!」
「…六つしか違わねェのに何でああなるんだろうな?」
「まるで親子だよネ!」
サンダースピア。
「「ぎゃあああああああああ!!!」」



+あとがき+
アニヒルのコンビのやりとり好きです。年齢近いのに姉妹っぽく感じないところとか。(ぁ
ヒルダには他のテイルズキャラに無いエロさを感じるのは俺だけでしょうか。