ズダァン!ボコォン!!
大きな人形が小さな魔物を蹴散らしていく。

「アニスちゃんの敵じゃないね☆」

人形を操る14才の少女は魔物を蹴散らした後とは思えないポーズを決める。
その姿はいつまでも見慣れることはなかった。

「…なぁ、アニス」
「なあにガイ?」
「お前さ。怖かったりしないのか?その…魔物と戦闘になったときとか」

金髪の青年は恐る恐る彼女に質問を投げかける。

「えー、いきなりどうしちゃったの?別になんないよ。だって魔物キモいんだもん」
「年頃の女の子がそんなことして…」
ハッ、何言ってんだよこいつ…きゃ、きゃるーん☆」
「聞こえてますよ、アニス」

ジェイドの横槍ツッコミを無視したアニス。そんなアニスにルークが素朴な疑問。

「じゃあよアニス、六神将で一番キモいのは?」
「ラルゴ!」
「正解。さすがですねぇ」

問題から回答までわずか0.3秒。驚異的なスピードである。

「旦那、正解ってなんだよ…」

突っ込むガイだったが言い返す事ができず。

「では、一番ウザいのは?」
「ルー…アリエッタ!」
「おや、惜しいですねぇ。ヒントは元親善大使ですよ。
それもう正解だよ!!本人聞いてるよ!!!

止める金髪青年のおかげで何とかその話題は打ち切りになったのだった。


そして一行は流通の町ケセドニアに着き、一旦自由行動を取ることになった。
するとガイの腕に彼女が抱きついてきた。

「ガ〜イ♪一緒にまわろっ!」
「う、うわああっ!ちょ、離れろってェ!!」

女性恐怖症のガイは必死に抵抗をするがそれが通じるわけも無く
アニスは面白がってずっとくっついていた。

「ほぉら〜、町の人怖がってるよ?」
「お前がどけば話は済むんだろうがー!!」
「…ひどい」
「え?」
「ガイ、私のこと…嫌いなんだ」

崩れ落ちる少女をガイは優しく抱きかかえた。

「はぁ…ったく、これでいいんだろ。お嬢様」
「やったー!ガイ大好き〜♪」
「調子良いなお前は…」

作戦成功とばかりの表情とVサインでガイにお姫様抱っこされるアニスだった。

「アクセサリーなんか売ってるのか。入ってみるか?」
「うん!」

扉を開け、中へ入ってみると見渡す限りアクセサリーでガイは一瞬気が引けた。
が、又アニスに攻められるわけにはいかないと思い必死にこらえる。

「キレイなのがいっぱいだね」
「ああ。これなんていいんじゃないか?ティアに。あ、こっちのはナタリアにも…」
「…ぶー」
「ん?どうした?」

『この状況で他の女性のことを考えているなんてどんだけなの!?』
少し不機嫌になるアニス。

「ちょっと、ガ…」
「お、この色。アニスにぴったりじゃないか?」
「え?…ほんとだ、綺麗…!」

戻ってきたガイの紳士っぷりに怒りなんかどこかへ行ってしまった。

「ふ〜、いい土産が出来たな。ほら、アニス」
「やったぁ♪ありがと、ガイ!」

薄い紅色のネックレスを肩から引っ掛けたアニスは無邪気に喜んでいた。
子供のように笑うアニスを見て微笑ましくなったガイだったがアニスの次の質問で空気は一気に変わる。

「…ねぇ、ガイ」
「ん?どうしたアニス」

先ほどとは声色が違うアニスにガイも真剣な表情になる。

「もし仲間がいきなり裏切ったら…どう思う?」
「そうだなぁ…あのお坊ちゃんは間違いなくキレるだろうな」
「そうじゃないよ!!」

ガイの発言に苛立ちを覚えたアニスはガイを裏の路地まで引っ張り連れて行った。

「ど、どうしたんだよ。いきなり…」
「ガイはいつもそんな事ばっかり言って、自分の気持ち隠して…!私、ガイの本音聞いたこと無い!!」
「アニス……」
「私はガイの言葉が聞きたい!ガイの気持ちが!…」

肩を震わせながら身長差のあるガイの顔を見上げる。
その瞳は微かに潤んでいた。

「…ごめん、アニス。確かに俺馬鹿だったな。気持ち隠して…それでルークの保護者ぶって…」

そういうとガイはしゃがみ込み、目線をアニスと同等にする。
そしてアニスの手をとり、にっこり微笑みかけた。

「俺はこの六人の誰が裏切っても、決してそいつを見捨てたりしねーよ。今まで楽しくやってきた仲間なんだからさ。」
「ほんと…?」
「ああ、ほんとだ。だから泣くなって。な?」

アニスの頭を撫でるとガイは立ち上がり時計を見る。

「げっ、まずいぞ!集合時間とっくに過ぎてる!!」
「わああ!ちょ、ガイぃ!?」

アニスの手をとっていたガイはその手を引っ張り集合場所に向かう。

「早い早いっ!手がちぎれちゃうよぉ!」
「あ、それとアニス。…身長伸びたな」

ガイの発言に顔を赤くしたアニスはトクナガでガイを引っ張った。

「うおわぁ!!」
「もうっ、ガイの馬鹿!!」

その後遅れた二人は何をしていたのかジェイドに色々いじられ倒されましたとさ。



+あとがき+
ガイ×アニスはいつ書いてもこっちがむず痒くなるなぁと。
アニスのブラックな感じは表現するのが難しいですが愉快な性格のキャラなので書いていて楽しいです。