夏の授業というのはどうしてもやる気が出なくなるわけで。

「あー、だりい」
「ちょっとソウル、博士がこっち見てるよ」
「でもなぁ…」
「そうだぜソウル!!こんなもんで果ててちゃ俺様のように神を超越できねえ!」
「いや、別にいいよ…」
「そこ。静かにしなさい」

シュタインの言葉と同時にブラックスターが机に倒れこんだ。

「ぐふぁ…」
「チョークが額にめり込んでる…」
次は当てますよ?
「もう当ててるじゃねえかよ…」

そして授業が終わり、ソウルとマカの二人は依頼を見に廊下を歩いていた。

「あ、リズ。キッド君たちは一緒じゃないの?」
「…依頼板から動かないから置いてきた」
「は?」


「ったく、俺が受ける依頼ぐらいしっかり揃えて欲しいものだ!」
「あははは!こっちもずらしちゃおー」
「うあああああああ!!パティ貴様あああああああ!!」



「「…なるほど。」」

思い浮かびすぎるその状況に二人は声を揃えて納得した。

「そういうこと。はーぁ、当分出そうも無いからいい男探しに出かけるとするよ」
「依頼板は今日はやめとこうぜ、マカ」
「そ、そうだね…ショッピングでも行く?」

そんなわけで二人は街へ繰り出すことになった。


マカとのショッピング中、ソウルは女性服のコーナーを見つけた。

「服か…そういやマカの奴、最近同じような私服ばっかだな」

親に恵まれていないマカが自分の服が少ないのも仕方ないわけで。
それを思ったソウルは足を止めた。

「?どうしたの、ソウル」
「来いよ。服買ってやる」
「え?」

そういうとソウルは強引にマカの手を引き、店内へ入った。
女性服の専門店だったので少し恥ずかしかったりもした。


「ふんふふんふふーん♪街歩き〜!」
「あんたね、少しは反省してる?あんたのせいであたしまでこんな目にあってんだから」
「ふひひ〜、ごみんに♪」

同刻、トンプソン姉妹も街に来ていた。
先ほどキッドを怒らせたトンプソン姉妹は代わりにお使いを命じられていたのだ。
パティは町を歩ける事に楽観的だったが姉のリズにとっては屈辱でしかない。

「お?おやおやおや〜?」
「ん?何見てんだパティ?」

二人の視線の先にはマカの手を引いて服屋に入るソウルの姿。

「「おやおやおや♪」」

姉妹の顔からは良からぬ企みが見て取れるようだった。


「これなんかいいんじゃねーか?あ、でもこっちも…」
「ソウル…」

いつも面倒くさがりのソウルが私のために服を選んでくれてる。
そういう嬉しさがマカにこみ上げてきていた。

「センス無いなー、ソウルってば!こんなの着てたらパティちゃんに笑われちゃうじゃん!」
「う、うっせーな!これぐらいの方がクールなんだよ」
「だったら自分の服買えよ。私は別にクールじゃなくてもいいっつーの」
「何言ってんだ、クールな俺を使う奴がクールじゃねーと困るんだよ!」

店内でクールクールと会話が続いていくうちに謎の喧嘩が始まっていた。

「お色気でやられてるような男がクールになれるかぁ!」
「うるせー!お前だってちょっと言っただけですぐ殴るじゃねえか!」
「何ぃー!!」
「…。」

ふと状況を見つめ直す。自分たちは何やってるんだと。

「…なんで喧嘩してんだよ、俺たち。バッカみてえ」
「ホントホント。さ、早く服選んでよね」
「なんだよ、俺はセンス悪ィんじゃなかったのか?」
「…ま、たまにはね」

パートナーとして、親友として。喧嘩しながらもマカはこれからもソウルと居ようと思った。

「ソウル、今日はありがとね」
「気にすんな。たまにはカッコ付けさせろよ。ま、俺はいつでもクールだけど」
「これさえ無ければ良いパートナーなんだけどなあ…」

「一生のパートナーってか、お二人さん!」
「「えっ!?」」

「リズ!?パティ!?」
「お前ら、どうしてここに…つーか、何だよその悪人顔」
「いやいやいや、お熱いお二人を見てたらこっちまで熱くなっちゃった♪」
『クールな俺を使うやつはクールじゃねーと困る』ってか!亭主関白!!」
「…てめェら……覚悟はできてンのかああああ!!」

片手を武器化させ、ソウルはおちゃらける姉妹をものすごい形相で追いかけた。

「「うおわああああああああ!!」」
「待ちやがれクソがァあああ!」
「あっ、ちょっとソウルー!?」

マカの制止も何のその、姉妹を襲撃するソウルはもう止めることなど不可能だった。

「はぁ…。…よし、思いっきりやったれー!」

諦め、開き直るマカだったとさ。



+あとがき+
ソウルとマカはとりあえずいいコンビなんだよ!本当なんだよ!
って言いたくて書いたのですが見事に自滅。ドタバタからラブコメに繋げるのが下手くそ。