「サンジ!腹減った、メシ!」
波に揺れるゴーイングメリー号はいつものように騒がしかった。
「てめーで魚でも釣って持ってこい。お前のせいで冷蔵庫がすっからかんだ」
「おっ!?釣りかルフィ!じゃあこのウソップ様の新兵器。その名も……」
「うおっ!なんだそれカッチョイイ〜〜!!」
いつものような一日が始まる。ルフィとチョッパーはウソップに習い釣りを始め、
ナミはログポースをじっと見つめながらサンジが用意した菓子を食べている。
「おーい、ナミ!島が見えたぞ。街もありそうだ」
「色々買いたいから船着けるわ!サンジ君、指示通り舵を動かしてね」
「は〜〜いっ、ナミさんっ♪」
ゾロはマストで見張りをしており、ナミはその情報を元に航海をする。
「うっほほ〜〜!ウソップ、チョッパー、島だァ!!」
「おー、よかったちょうどいい!卵が切れちまってたんだよなー」
「図書館あるかなー…♪」
それぞれが期待に胸を膨らませ、島へ上陸する。
「おいルフィ!錨おろしといてくれ」
「分かったー!お、なぁサンジ!あのカニ食ったら美味ェかな!?」
「さぁな。だが料理しがいはありそうだ」
ルフィの耳にゾロの言葉は入っていなかった。
街があるといっても島自体が小さく、30分ほど歩けば街全体が分かるようなもの。
ルフィはウソップと食材・武器巡り、ゾロは酒場へ向かい、
サンジは市場へと向かい、チョッパーは図書館探し、ナミは留守番となった。
「ふぅ…みんな行っちゃったし、一眠りしよっ」
普段の航海の疲れが出たのかナミはベッドに横たわるとそのまま寝入ってしまう。
錨を上げたままの船の上で…
10分後、チョッパーが海岸へと戻ってくる。
「図書館無かったぁ…」
残念そうな顔をしながら船へ乗り込む。
「ナミはいるのかな?」
恐る恐る女部屋に入るとぐっすり寝ているナミを発見し、安心したチョッパーは自室に戻った。
「そうだ!新薬の開発をしないと」
部屋を締め切り、自分の世界へと入っていくチョッパーであった。
その間に少しずつ、船は流されていく…
「できた!」
1時間ほど集中して新薬を作ったチョッパーは息抜きに外へ出ることにした。
「ふー…カモメはいつも綺麗だなァ…波も穏やかだし、海は広いし…」
視界に映るのは空に浮かぶ雲やカモメ、そしてどこまでも続く地平線。
『…どこまでも続く?』
「な、流されてる!?ナミ〜〜〜〜!!」
自分が先ほどまでいた島は影も形も見失ってしまった。
ふと、錨が下ろされてないことに気づく。
「(おい誰だよ錨を降ろさなかった無責任な奴は!…ってルフィじゃねーかァァ!)」
どうしよう、どうしようと甲板で一人あたふたのチョッパーはとりあえずナミを起こすことに。
「…えェェェ!?船が流されちゃってる!!」
「ルフィが錨を下ろしてなかったからで…」
「もーっ、あのバカ!」
島を出たといえどその島のログが断たれたわけではない。
ナミはログポースを取り出し方角を確認した。
「チョッパー!10時の方向っ」
「分かった!」
ナミに指示されたとおり舵を動かすチョッパー。
「ごめんナミ、俺がちゃんと船見てなかったから…」
「いいの!新しい薬作ってたんでしょ?それに悪いのはルフィ!!アイツ〜…」
「…!ナミ、静かに」
海の下から微かな気配と声が聞こえる。チョッパーは独特の能力で察知する。
するといきなり船が揺れ出し…
「グオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
「「う、うわああああっ!!?」」
「小型の海王類!?何でこんなところに…」
「!!」
海王類の出現で船が揺れ、ナミが海王類側に甲板を滑っていってしまう。
それに気づいたチョッパーはすかさずランブルボールを口にし、腕を強化させた。
「ナミが…危ないっ!!」
「チョッパー!?」
「刻蹄…”桜-ロゼオ-”!!!」
「グギャアアアアッ!!?」
チョッパーの一撃で気絶した海王類は海へ沈んでいった。
「ナミ、大丈夫かっ!?」
「チョッパー…ありがとっ!」
「な…ナミにお礼言われたァァ〜〜〜!!」
「ちょ、ちょっと!どういう意味よ!」
その後、一人と一匹は無事元の島へたどり着いた。
ナミがそのときにチョッパーに飴を買ってあげたのをルフィ達は知らない。
+あとがき+
チョッパーはロビンもそうですけど女性キャラと組ませると一気に性格が幼児化しますね。
雄々しいチョッパーが好きなんですがどうしても文章だと難しいので。