「やめて!!私は死にたいのよ!!」
『何で俺がお前の言うこと聞かなきゃならねェんだ!!』
私はこのまま瓦礫に飲まれて死んでいいと思った。
自分にはこれ以上生きていく価値がないと思った。
それなのに…
「ロビン、何読んでんだ?」
「ちょっとした歴史書。読んでみる?」
辞書のように分厚い本を船長に本を渡してみる。
開かれているページを見てみるがどういうことかさっぱり分からず首をかしげる。
「ん〜?さっぱりわかんねえ」
「フフ、ごめんなさい。船長さんにはちょっと難しかったかも」
「んなっ!ばかにすんなよ、俺だって漢字の”大”や”小”は書けるんだ!」
その船長の真剣な表情のバカな反論に思わず笑ってしまうロビン。
当の船長は笑うロビンが不思議で仕方なかった。
「な、何で笑うんだよっ」
「フフフフ、だって、おかしくって…」
”笑う”という行為にあまり慣れていないロビンにとってルフィは新鮮で
一緒にいるのがとても気に入っていた。
こんなに笑ったのは…20年前、サウロと共にいた頃以来。
「フフフ…」
「…ロビン?」
「え?な、何かしら」
「お前…、何で悲しい顔してんだ?」
突然真剣なまなざしで顔を覗き込んでひとつの疑問を投げかけてくる。
どうしてこの少年は人の核心を突いてくるのだろう、と。
そんな事を思っていると眼の前に居るルフィがいきなり肩をつかんできた。
「な、なに!?」
「大丈夫か?震えてんぞ…何が悲しかったんだ?」
「別に…悲しいことなんかないわ」
「嘘付け」
「あなたに言う義理はない」
私はまたバカなことをした。せっかく自分を信用して、心配してくれてる人ができたのに
すぐ突き放してしまう。自分のこういうところが嫌だ。
ルフィは麦わら帽子に顔を隠し「わかった」と一言残し去っていった。
それから数日して、ロビンは前以上に口数が減り会話にもあまり参加しなくなった。
その姿を確認したルフィは一つの決意をした。
「…ロビン」
ロビンは船首に座り、海を見ていた。
「何?船長さん」
「ごめん!!」
ルフィの口から発せられた言葉はロビンの想像から大きく違った。
「え…?どうして」
「俺がなんかしちまって、ロビンがそんな顔してんだろ?」
「…はぁ」
あまりのルフィの必死加減にため息を一つ。
「謝るのはこちらの方よ。変な気にさせてしまってごめんなさいね」
「いーや、こちらこそ、どーもすみませんでした」
「…昔にもあなたみたいな人がいたわ」
「俺みたいな人?」
ロビンは船首の上からおり、ルフィに近づいていく。
「私を信じて戦ってくれた…ルフィ、あなたのような人…」
そういうとロビンは不意にルフィの唇を奪った。
少し触れるだけのフレンチなキス。それなのにルフィにはロビンの気持ちが少しずつ伝わってきた。
「けど、その人は死んだ」
「!!」
「あなたには死んでほしくないの…分かるかしら。」
先ほどのキスで気持ちが伝わったルフィは自分ができることは何か、
必死に考えた。
「でも、お前は弱いだろ」
「えっ…?」
「ロビンは強ェけど弱ェんだ。そんなロビンを助けてえ」
「…生きたい、かな」
「ああ、俺は絶対に死なせねえ!」
ニコッ、と笑ったその顔は本当に無垢で見たことがない顔で。
「ありがと…ルフィ」
次の日からルフィに笑顔を振りまくようになったロビンを、サンジが羨ましく見ていたとさ。
+あとがき+
ルフィのちょっと背伸びしてそうでしてない感を出すのが難しすぎる。です。
そして逆にサンジのオチとしての使いやすさが異常。