『咲いたんだ…桜が…』
『ドクターの研究は完成していたんだ!!』
「おーい、チョッパー。いっぱい道具取り出して何作ってんだ?」
「へへへーっ内緒」
俺が今作っているのはまだ誰にも言えない。まだ”試作品”なんだから。
でもこれだけは胸を張って言える。
「これは薬なんだ!」
「何の薬を作っているのかしら?」
「うおわわわわ!?ろ、ロビン!?」
椅子に腰掛け足を組んでのんびりと紅茶を飲むロビン。
テンパるチョッパーにはそこにいつから人が居たのかすら謎だった。
「い、いいつからいたんだっ!?」
「さっきからずっと居たわ。よっぽど開発に夢中になってたのね」
「ああ。これは俺が一番完成させなきゃいけない”薬”だからな」
「薬を作ってるの?そうは見えないけど。」
「ううん。れっきとした”薬”だ」
フラスコを持ちながらチョッパーは語った。
度々見せるチョッパーの生き生きしてる姿にロビンは自然と笑顔になった。
「興味を持てるものがあるっていいことね。」
「ロビンはいつも難しい本読んでるけど興味ないのか?」
「本自体にはあまり無いけど…しいて言えば歴史本かしら」
「歴史?」
「そう。世界のいろんな出来事を調べて研究して…平たく言えば考古学のようなものね。」
「う〜ん、よく分かんねえ」
「あなたにとっての医学のようなものよ」
それを聞くとチョッパーは「なるほど!」と一言で納得した。
同時に『ロビンは説明が上手いなあ〜』と感心の眼差しでロビンを見つめた。
「私は歴史を学ぶことに人生をかけてるの。彼の遺志を継ぐために…」
「俺もドクターの医学を研究して、時間をかけて俺自身が”万能薬”になるんだ」
チョッパーが気合を入れてフラスコを掲げた瞬間、
フラスコ内の液体がどんどん紫色に変わっていき…!?
「しまった!衝撃を与えたら…」
ボォォン!!
「うわあああああああ!」
「チョッパー!!」
幸いそれほど大きな爆発はせずロビンは無事に済んだが
肝心のチョッパーは煙に隠れ様子が分からない。
ロビンは能力を使い、間取りの広い部屋の中必死にチョッパーを探した。
「げほ、げほ…」
「!チョッパー、大丈夫?」
「げほっ…何とか無事だったけど…。ちくしょう、もう少しで完成だったのに…!」
何かに集中し始めると止まらないチョッパーは失敗にとても敏感だった。
「そんなに難しいことなの?」
「いや、調合までは簡単なんだ。ただ何故か分量が定まらないんだ…。」
「だから苦労しているのね…。でも残っている時間はまだまだ長いわ。頑張りましょう」
「え…?あ、うん」
ロビンの口から「残っている時間は長い」なんて言葉が出るとは思っていなかった。
「駄目なんだ。ドクトリーヌにまた会うまで…航海が終わるまでに完成させないと駄目なんだ」
『…それが俺がドクター達にできる恩返しなんだから』
「素敵じゃない。恩師に恩返しするために人生をかけてるだなんて…」
「ロビンはそういうの無いのか?」
「………あるわ」
チョッパーは少し間があいたのが気になったがロビンは続けた。
「さっきも言ったけど私は歴史を知ることが好きで、それに人生をかけてるの」
「ロビンが歴史を知ったら誰か喜ぶのか?」
「…分からないわ。でも分からないからこそやる意義があると思うの」
先ほどのチョッパーのように生き生きと自分の意思を語るロビン。
それはチョッパー同様、ある恩師のおかげでもある。
「デレシシシシ!つらくなっても笑えば楽しいんだで」
「つらいのに笑うの?」
「ああ、そうだ。どんなにつらくても笑えばウキウキ気分になるんだで。」
「デレシシシ!デレシシシシシ!!」
「サウロ!!」
「バスターコールは止められん…!ロビン、一刻も早く逃げるんだで!!」
「オハラは歴史からも、そして地図からも消えた」
「探さなきゃいけない…この世界の歴史を。オハラの歴史を…」
「ロビン?」
ロビンはいつの間にか思いふけていた。
変だなー、と思いつつチョッパーはロビンの気を確かめた。
「…大丈夫よチョッパー。ありがとう」
「よし、競争しよう!」
「えっ?」
「競争したらその分早く完成するかもしれないだろっ!だから競争しよう!ロビン!」
チョッパーの目は今まで無いほど輝いていた。
「競争…歴史に競争ね。ふふふ」
今まで自分が生きてきて競争なんて一度もしたことがない。
「強いて言えば政府との20年間かしらね…」
「??どうかしたのか?」
「いいえ、なんでもないわ。競争、たまにはいいものね」
無邪気に笑う”彼”の顔を思い浮かべながらロビンは笑顔で返答した。
+あとがき+
風呂入ってたら思いついたネタです。チョッパーとロビン姉さんって姉弟っぽくて好きだなぁ。
姉さんは書きづらいキャラではあるのですがあえてそれを書くことでどんどん好きになります。