サウザンド・サニー号は大波に揺られていた。
「ほらそこっ!もっと逆に舵取って!!」
「分かってるよ!!おい、ゾロも手伝ってくれよ!」
「かー…」
「おいゾロってば!」
「やめろチョッパー。一度寝たらこのクソマリモは簡単に起きやしねーよ。時間と労力の無駄だ」
「おーい!前方からまた台風が見えてきたぞ!!」
高台にいるウソップがゴーグルを調節しながら確認する。
それを聞いたナミはすぐさまゾロを蹴り起こした。
「起きろって言ってんでしょうがァ!!」
「ん…………、…………………………あぁ。朝か?」
「長いわっ!!さっさとチョッパーとサンジ君に加勢してきなさい」
「うお!?嵐じゃねーか!何でとっとと起こさねえんだよ!!」
「うるさいっ!!」
「す、すいません…」
ゾロを何とか持ち場に着かせたナミはまた新たな問題を発見する。
「ちょっとフランキー!?網が破けそうなんだけど!」
「あァ!?ちょっと待ってろ!スーパーに駆けつける!!とびっきりスーパーにだ!!」
「いや普通でいいから!早く!!それとロビンは……ああ、動いてるのね」
生えた手が動いてるものの本体が休んでるため何か納得できない。
だが、そんなことを言っている場合ではなかった。
「と、飛ばされちゃいますよぉおお〜〜!!」
「アンタもう部屋に戻ってなさい!!」
「いやっ、そういうわけにはいきません!私も麦わらの一味の一人。ここで働かねばっ!!歌います!!ヨホホホ…♪」
ブルックの歌声とバイオリンの音色が合わさりハーモニーを生み、船員たちの耳に届けられた。
その音を聞くと船員達は何故か力が湧いてくる。
「うおっしゃあ!もうひと頑張りだ!!」
「…って、お前も働けよロビン!」
「働いてるわ。」
「お、おおう…そうだったな。ってややこしいわァ!もっと動け!」
「動いてるわ。」
「いやそういうことじゃねえよ!分かっててやってるだろ!!」
「フフッ、面白いわね。でも帆が倒れそうよ?」
「支えろてめえええええ!!」
「支えてるわ。」
カティ・フラムの憂鬱。
@何故ニコ・ロビンは屁理屈ばかりつくのか。
A何故ニコ・ロビンはあんな性格をしているのか。
B何故ニコ・ロビンはあのような態度を取るのか。
「…って、アイツのことばっかりじゃねェか…」
大波も去り、すっかり元のなだらかな景色に戻ったサニー号に揺られながらフランキーは思った。
「影響されすぎだな。まったく」
「何を書いてるのかしら?」
「うおっ、何だお前かよ。何か用事か?」
「用事もないのに部屋に来ちゃまずいかしら?」
出た。この人を小バカにしたような話し方。
フランキーはこの話し方がどうも気にかかっていた。
「これは…手紙?」
「うおっと。悪ィがこれはお前にも見せらんねーな。これは…俺の恩師への手紙さ」
「恩師って…パッフィング・トムを作ったという?」
「ああ。俺の…いや俺達の大切な人だ」
おかしいな。昔はこんな話一家の誰にも話そうとしなかったのに…
フランキーは過去の自分との違いになぜか笑えてきた。
「貴方って悲しい顔もできるのね」
「うるせェ」
「…不思議な人ね。いい加減に見えて意外としっかりしてて…」
「お前にゃ適わねェよ。ルフィとまるで真逆じゃねーか」
「そうかしら…私は貴方のほうがルフィと真逆だと思うけど」
「??」
最初、フランキーはロビンが何を言ってるのか理解できなかった。
俺が麦わらと、ルフィと真逆の人間?考えたことも無かった。
フランキーがそのことを考えているうちにロビンはフランキーの手元にあった設計図を見ていた。
「……って、おい何やってんだ!」
「すごいわね、分からない単語が続々」
「勝手にいじんじゃねえ!これはトムさんの…」
「トムさん?」
「っ、い、いやなんでもねえ」
これもロビンの手の内なのだろうか。手の内じゃないとしても…
「…まぁいいよ。用事ねえなら出てってくれるか?」
「そうね。…ごめんなさい…」
「!?」
部屋のドアを開けた瞬間に見えたロビンの顔が凄く寂しそうに見えた。
「……ったく…」
数分前にロビンが来る前は元々一人でいたのに、いざ一人になると必要以上に静けさを感じる。
作業に集中できない。
「ぁあああ!ちっくしょう、俺らしくねえ!」
「そういえばアイツ、少し前に花を育ててたな…」
フランキーは少し考え込んだ。
「…ま、気分転換だ」
そう自分に言い聞かせ、フランキーは倉庫に向かった。
次の日…
「あれ?ロビン、花壇が一つ増えてるわよ」
「そうね。シンプルだけど隙がなくて綺麗。どんな器用な人が作ったのかしら」
ロビンは後ろ姿のフランキーを見ながらそう言った。
当の本人はそれを聞こえてないフリをするのに精一杯で、それを見てロビンはクスクスと笑っていた。
+あとがき+
フラロビっていうと普段は破天荒なシチュばかりなのでお話を作るとどうしても日常系になります。
いつもはやんちゃなアニキとクールな姉さんのほんわかモードというか。